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~学説と実務の乖離が激しい相続法の基礎知識や制度を解説する~
[著]弁護士村上 博一

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2014年1月11日 土曜日

「心理的瑕疵に関する判例の現状」勉強会の開催

平成25年11月26日と27日、(社)大阪府宅地建物取引業協会北支部の勉強会で、当事務所の代表社員村上が、「心理的瑕疵に関する判例の現状」というテーマで講師を務めました。
 心理的瑕疵については、宅建業者の方々にとってよく起こりうる事案であるわりに、あまりまとまった文献や判例の分析もなく、大いに関心のあるテーマだったようで、2日間で、100名を超す皆様のご参加をいただきました。


心理的瑕疵に関する判例の現状
大阪市北区西天満5丁目16番15号エフワンビル4階
弁護士法人村上・新村法律事務所
電話06-6316-8364
http://www.m2-law.com/index.html

大阪市中央区谷町1丁目3番5号アンフィニィ天満橋1004号
西田司法書士事務所
電話06-6941-2343
http://www.pat.hi-ho.ne.jp/nishi-sho/

1 不動産関連法研究会の発足
(1)弁護士村上博一・新村守、司法書士西田庄吾により、平成25年9月発足
(2)第1弾として「心理的瑕疵に関する判例の現状」を研究することにした。
   判例選択は、中戸氏が下記にて発表している「心理的瑕疵に関する裁判例について」の判例一覧の中から、こちらで判決そのものを入手できるものとした(合計20件)。
http://www.retio.or.jp/attach/archive/82-118.pdf
(3)研究会の成果は「新村守のブログ」を通じ発信中である。
http://ameblo.jp/m2laws/entry-11607929580.html 

2 心理的瑕疵・説明義務に関する法的知識の確認
(1)売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない(民法570)。
民法566条1項によれば「買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる」「契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる」とされている。
  ⇒ 売主の責めに帰すべき事由(故意、過失等)は要件ではない。
    ここで請求が認められる「損害」とは、信頼利益(乃至はせいぜい代金額を上限とするもの)とされることが多い。
(2)ここでの「瑕疵」が何かについては、主観説が採られるのが一般的で「契約の趣旨に照らし、目的物が通常有するべき品質・性能を欠いていること」とされている。
   そのため「目的物の通常の用法にしたがって利用することが心理的に妨げられるような主観的欠陥」(平成21年6月26日東京地裁判決・事例1-6)乃至は「嫌悪すべき歴史的背景などに原因する心理的瑕疵」(平成元年9月7日横浜地裁判決・事例1-17)も、ここでの「瑕疵」に含まれるとされている。
(3)また、売主が「債務の本旨に従った履行をしないときは」責めに帰すべき事由(故意、過失等)のない限り、買主は「これによって生じた損害の賠償を請求することができる」とされている(民法415条前段)。
   そして、この「債務の本旨」の中には、付随的な義務も含まれると解されており、売主には、心理的瑕疵の存在について説明すべき義務があるとされている。
  ⇒ 責めに帰すべき事由が要件であることから、ここで請求が認められる「損害」については、履行利益・拡大損害も含むと解されている。
(4)その他、宅建業者は「取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。」とされており(宅建業法31条1項)重要事項の説明義務があるとされているが、宅建業法35条1項は「少なくとも次に掲げる事項(1~14号)」の説明をしなければならないとしているに過ぎず、同条記載の事項には限られないことから、心理的瑕疵の存在についての説明義務もあると解されている。

3 判例の分析と現状
(1)売買編
  ① 総論
   当事者の属性(業者、素人、両者の能力差)
購入目的(居住・転売・収益)
事件のあった不動産(存在する・痕が残る、存在しない・残影響の有無、程度)
死亡事件のインパクト(建物の中か外か、自然死<自殺・他殺、発見時の状況)
事件からの期間
周辺住民への影響、周辺住民の流動性、風化度合
価格に与えた影響(価格に織り込み済みか)
⇒ 競売物件評価は、30%を中心に、20~50%の範囲で減額される。
求める法的効果(取消・解除か、損害賠償か。心理的瑕疵以外の損害もあるか。)。
   ② 各論
    Ⅰ 求める法的効果によって分析した。
    Ⅱ 最近の判例の傾向
    Ⅲ 死亡原因 自他殺が殆ど。
病死・自然死の場合は、腐乱等の事情がない限り、裁判所は救ってくれる。
難しいのは事故死。「火災による焼死者」がいることを心理的瑕疵とした判例もある(平成22年3月8日東京地裁判決)。
      ※ 「自殺か事故か不明」という場合は?
    Ⅳ 購入目的は重要
 居住目的は解除が認められやすい。
  ※ 平成9年8月19日浦和地裁川越支部判決・事例1-14
 転売・収益目的は損害賠償にとどまる。
    Ⅴ 死亡後年数 決定的な基準ではない。ただ、
居住目的の場合、ある程度年数を経ていても解除は認められやすい。
転売・収益目的の場合、年数が浅いものは損害額が高額になる。
※ 平成11年2月18日大阪地裁判決・事例1-13
     Ⅵ 建物が存在する方が心理的瑕疵は認められ易い。
     Ⅶ 風化の程度に関する評価は?
     Ⅷ 担保責任免除特約について 
       民法572条「売主は...担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実...については、その責任を免れることができない」
       ※ 平成9年8月19日浦和地裁川越支部判決・事例1-14
     Ⅸ 逸失利益損害の立証は緩和されているので注意
       民事訴訟法248条「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる」
       ※ 平成20年4月28日東京地裁判決・事例1-7       
(2)賃貸編
  ① 売買との差異(自然死・病死の取扱い、死亡後年数の影響)
  ② 賃借人請求型(→賃借人・仲介業者)と賃貸人請求型(→相続人・保証人)に類型化できる。
Ⅰ 賃借人請求型 判例が少ないのは何故か?
Ⅱ 賃貸人請求型
 ⅰ 自然死・病死を理由とする請求は認められない。
   ※ 原状回復義務について(昭和58年6月27日東京地裁判決・事例2-11)
 ⅱ 自殺された場合の損害額
    賃貸不能1年・賃料低下2年
 ⅲ その他
   賃貸目的物外での自殺
平成18年4月7日東京地裁判決・事例2-7
   従業員が自殺した場合の会社責任
平成16年11月10日東京地裁判決・事例2-8

4 調査・説明義務の程度
(1)原則は売主等からのヒアリングと思われる。
近隣住民等に対する聞き取りは? 新聞・報道等の調査は?
(2)エスクロー調査というホームページにて「売主による不動産情報の告知に関する書面」が、コピー可能という状態で公開されている。
http://www2.odn.ne.jp/escrow-tumura/html/yoake1634.htm

5 競売物件について
(1)3点セット(現況調査報告書・評価書・物件明細書→売却基準価額)の確認
   調査後の死亡・落札後の死亡
 それ以前のものでも、死亡に関する情報は意外と抜け落ちている。
(2)民事執行法71条「次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない。...5号第75条1項の規定による売却の不許可の申出のあること。6号売却基準価額若しくは一括売却の決定、物件明細書の作成又はこれらの手続に重大な誤りがあること。」
   民事執行法75条1項「買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合...売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでない。」
  → 売却許可決定の前後により、手続等に差がある。落札(最高買受申出人の決定)から1週間以内の日であるのが原則なので、注意(早めに物件を見に行く)。
(3)自他殺でないと取消等は認められないというような見解もある(平成22年1月29日名古屋高裁決定・事例1-3)が、それ以外の場合でも認められる例が多い。ただ、通常の売買以上に「嫌悪感」は理由にならず「価格に与える影響」が重視される。

6 死亡以外の瑕疵事由
(1)心理的瑕疵の定義によって、範囲が定まる。特に、環境的瑕疵との差異が不明瞭であるが、振り分けの問題で効果には影響しない。
(2)最近目立つのは、暴力団事務所。
(3)その他として
① 性風俗営業 ○ 平成23年3月8日福岡高裁判決
② 迷惑隣人  △ 判決例が分かれている(○-平成16年12月2日大阪高裁判決・×-平成17年12月26日東京地裁判決)
③ 火事    ○ 平成16年4月23日東京地裁判決
④ ゴミ集積所 × 平成13年10月18日東京地裁判決
 
心理的瑕疵一覧表はこちら
 


投稿者 村上・新村法律事務所

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